「同窓会」


    お盆の前後は同窓会の季節でもある。
    久しぶりにみんなが帰ってくる。
    せっかくだから同窓会をしようではないかとなる。
    もっとも学校を出て5年や10年ではまだ "なつかしさ" にコクが出ない。
    頭が薄く、あるいは、白いものが光る年頃にさしかかると、ただ訳もなく、昔の顔に会いたくなる。


    もちろん放っておいて会が出来るわけがない。
    せっせと同窓会を開いているクラスには決まって名幹事がいる。
    会場を交渉したり、案内状を作って発送をしたりだけでも ひと苦労だが、名幹事とうたわれる人たちは
    それだけで能事終わりとはしない。

    遠くにいて ためらっている旧友に電話で出席を促したりする。
    よほど世話好きでないと務まらないが、不思議とそういう人間がいるものだ。

    遠い昔にたわいもない共通の話題があって、当たり障りの少ないことを喋って ひと時、浮世を忘れる ー
    これが同窓会の楽しさになる。
    そして、みんなそれぞれに中々やっているが、自分だってこれでマンザラ捨てたものではない、と思い
    ながら帰途につく。


    そういう風に自分を眺められない人は同窓会に出てこない。
    それでだんだん顔ぶれが決まってくる。
    毎回 顔を出すのがいるかと思うと、卒業以来、一度も現れたことがないというのも少なくない。


    昔 習った先生をお招きするのが同窓会の作法だが、旧師に対する気持ちも人によって様々である。
    ひどくなっかしがって、先生のそばから離れないのもいれば、遠くの席からぼんやり見ているだけの冷
    淡派もある。

    学校時代に先生から 叱られてばかりいたようなのが案外 先生思いで 、かわいがられてたはずの優等生
    がかえって冷淡派にまわっているのも面白い。

    それがわかるのが、先生は旧師に変わり、生徒がいい歳になってからだというのは、人生の皮肉 ー。


top

                      Copyright © Sanyuki All Rights Reserved.